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『一本道』


気がつくと俺は霧がかかった一本道に佇んでいた。

一本道の幅はとても狭く車一台がぎりぎり通れるほどの幅だった。
一本道の両端には壁があるわけでもなく、単に何もなかった。
奈落の底っていうんだろうか、霧が濃くてよく見えないが、
落ちたら確実に死ぬであろう高さであることは察しがついていた。

（とりあえずこの道から脱出しなければ）

そう思って、俺は無我夢中に前に向かって走った。
ふと、前方にぼんやりと明かりが見えるではないか。
その明かりは次第に大きくなってきた。車だ。

俺は懸命に手を振って車を止めた。

車から男が降りて来た。

男「いやぁ、山道を下っていましたら一本道が見えたもんでね。
　　道を辿ってみたらこのザマですよ。」

俺「実は私も気づいたら此処居てて・・・
　　帰りたいんですけど、この通り、道が分からなくて。」

男「そうだったんですか。じゃぁ、どうでしょう。
　　ここで彷徨っていても、途方に暮れるだけですし。一緒に帰り道を探しませんか？」

俺「いいですね！助かります！」

男「では、歩くのもなんですし、私の車に乗って帰りましょう。」

俺「ありがとうございます。」

俺は車に乗り込んだ。




解釈>>264